明日の東播海岸を考える懇談会

第21回懇談会

日時 : 平成13年12月 7日

場所 : ホテルキャッスルプラザ

項目

東播海岸の今後の整備計画について

国土交通省近畿地方整備局姫路工事事務所
  • 平成11年度に海岸法が改正され、この改正に基づき、国は海岸保全基本方針を策定した。そして、この海岸保全基本方針に基づき、全国の個々の海岸を対象とした海岸保全基本計画を各都道府県単位で策定することになっている。
  • 兵庫県も県内の海岸を対象とした海岸保全基本計画を策定中であり、その一部に東播海岸が含まれている。そして、計画策定に際しては、東播海岸における施設整備計画を反映させることになっている。
  • 本懇談会は、東播海岸における施設整備に対する地域住民の意見を聴取し、計画に反映させることを目的として開催した。
  • 現時点での東播海岸における海岸保全施設整備計画について、国土交通省近畿地方整備局姫路工事事務所より説明を行い、懇談会委員および一般聴講者からの質疑応答を行った。

質疑応答

海岸保全基本計画について
Q 播磨沿岸域全体で、旧運輸省・旧建設省管理の港湾や海岸、農林水産省管理の漁業区域の全てに同じ基本方針・基本理念の考え方が及ぶのか。
A 海岸は、自然海岸を旧建設省、港湾区域を旧運輸省、漁港区域を農林水産省が管理する。法律上では縦割りとなっているが、最終的に播磨沿岸、あるいは大阪湾沿岸で統合されていく。管理者が異なっていても、ゾーニング毎の基本的な方向性や考え方は統一されていくと考えている。
Q 突堤・養浜などの施設を整備してかなり時間はたっているのに、生物の回復がはかばかしくない。懇談会でも何度か施設改善・改良の提案が出されたが、実施されていないように思う。とりあえず1ヶ所、実験地を設けて追跡調査を行い、その結果を他の施設にも応用してもらいたい。
A 来年5月から工事を行うので、意見をさらに詳しく聞いた上で実験を行う方針である。
Q 藤江小学校付近は養浜がまだ行われておらず、非常に生物豊かである。ちょっとした自然空間は残してもらいたい。
A 藤江小学校前の自然については、詳細不明につき確認の上で検討したい。自然保護も必要だが、防護が必要な場所もある。また、エコ・コースト事業では養浜材料を変えたり、地元住民等と検討して場所を設定したりしている。実際、施行の際には生態系も配慮される。今後、調査・検討していきたい。
Q 砂浜はできる限り遠浅にしてほしい。遠浅にすれば、おぼれる子供も少なくなるのではないか。また、近くにトイレや水道設備も設置してもらいたい。
A エコ・コースト区間では、委員会で生物に配慮した場所として設定した場所に、それに応じた浜を整備している。また、緩やかな勾配の砂浜を造ることは現実的に非常に難しい。播磨灘の沖合はほとんどがノリ養殖場なので、場所的にも難しい。
Q 林崎漁港の西側から江井ヶ島海岸にかけて海岸が整備されたが、どの海岸も画一的になっている。そこで、磯浜を試験的に作り、生物が住めるようにして子どもも楽しめる、親水性のある海岸づくりを期待する。
A 江井ヶ島、林崎間についてはエコ・コーストとして生物の生態系を考慮しつつ整備を進めている。場所毎に整備パターンを変える等の試みも行っている。
Q 明石港から大蔵海岸にかけて突堤・養浜を行う計画になっているが、地元としては大蔵海岸と明石港を結ぶベランダ護岸を連続させてもらいたい。明石港の外に突堤を出して養浜をするのは物理的に無理ではないか。
A 現時点では護岸がすでに完成しているので、将来施工される養浜、離岸堤を検討したい。
サイクリングロードについて
Q サイクリングロードの背面を緑化してもらいたい。
A 後背地の大部分を明石市が所有しており、整備を始めている。補助が全くない市単独事業なので整備に時間が掛かる。今、八木周辺で工事をしており、江井ヶ島周辺では地元住民にノジギクやミカンの苗木を植えてもらっている。
海岸環境の改善について
Q 水上バイク利用者のマナーが悪く、ガソリン臭い排気で夏場は窓を開けられない。大きな花火が打ち上げられたりもする。海岸整備課に何度も連絡しているが「海岸は国民のもの」といわれた。一度、土日や真夏に見に来てもらいたい。
A 海水浴のシーズン前には海上保安部、警察を含めて協議の場を持っており、苦情が入り次第、保安部が取り締まっている。また、県には水難救護に関する条例もあり、海水浴場にエリアを設定し、その中で遊泳者に危険を及ぼす行為は禁止されている。しかし、夏場以外・海水浴場以外での取り締まりは難しい。海上は条例が馴染みにくいということもあり、水上バイクの規制は難しいが、大阪湾・淡路とも連携して、水上バイク規制の先進県である滋賀県等の事例を参考にして前向きに検討したい。また、夜間の花火について明石市では、海岸部を含む公共の場所での夜10時から明け方までの花火を禁止しており、罰則を伴う条例を制定している。
Q 明石にある障害者自立センターでは、4年前から大蔵海岸で車椅子の方の海岸散歩や海水浴を行っている。海岸全体をどうすべきかについて、県民全体が考えるためにも協議の場を作ってもらいたい。環境保全地域やバリアフリー海岸等、テーマ別に絞り込んで分科会などで議論したほうがよいのではないか。
A 大蔵海岸や「いきいき・海の子・浜づくり」海岸では、バリアフリー化を図っており、今後もそのことに配慮しながら進めていくことは当然のことと認識している。分科会という意見については、これからの参考にしたい。
Q 東播海岸には多くの史跡があるが、説明やガイド板が少ない。史跡・歴史の解説板を作ってもらいたい。
A 市サイドで今後検討していただきたい。
Q 明石市は、明石原人が発掘された土地をほとんど買収している。そのため現在完成しているコンクリート護岸ではなく、史跡を生かした整備(石積みなど)をしてもらいたい。
A 明石原人の発掘地付近は護岸が完成しており、現在、エコ・コースト地域として突堤と養浜の整備を実施している。最終的に県に渡す方向で事業が進んでいるため、再整備は難しい。
その他の意見・要望
  • ハザードマップ作成時には過去の被害等をはっきりと示し、いたずらに不安や恐れを抱かないよう配慮が必要である。
  • 以前、藤江小学校の子どもたちと植栽を行ったが、人が踏み散らせる場所であった。今の植栽方法では、多くの植物を将来に残すことができないのではないか。植物に限らず生物を保護するためにも、できる限り人間が立ち入れないゾーンを作ってもらいたい。