明日の東播海岸を考える懇談会

第15回懇談会

日時 : 平成12年 7月31日

場所 : ホテルキャッスルプラザ

項目

海岸保全基本方針の策定について

海岸法改正のポイント
  • 海岸管理検討委員会で海岸保全の基本的な考え方(海岸保全基本方針)を示し、それに基づいて各海岸に合った海岸の保全に関する基本計画(海岸保全基本計画)を定める。また、基本計画をつくるときに関係住民と話し合い、専門家の知識を参考にするよう明確化された。
  • 海岸法改正前.....防災のみ
    海岸法改正後.....防災・利用・環境
  • 海岸区分として、「公共海岸」という場所が新たに加わり、海岸保全区域とあわせて一般公共海岸区域と位置づける。
  • 海岸区分は、必ずしも都道府県の県境に関係しない分け方とした。
海岸法改正の問題点
  • 海岸は4省庁が関係しており、お互いそれぞれに権限があるため、調整がうまくいかないかもしれない。しかし、2001年から省庁再編により、一緒になることが決まっているので、長期的視野に立てば問題は解決されるように期待している。
  • 海岸を議論するとき、関係住民の範囲を如何に設定するかが問題である。それによって、意見も変わるため重要なファクターである。
  • 大阪湾を考える場合、和歌山県と大阪府の県境から明石海峡までと、明石海峡から兵庫県と岡山県の県境までとで海岸区分が異なる。大阪湾のいろいろな問題を考える場合、分けて考える方が不自然なような気がする。
  • 市民参加では、海岸は河川に比べて遅れをとっている。しかし、東播海岸は海岸の中では非常に珍しく、市民参加が進んでいる。

海岸環境基本計画について

  • 海岸保全基本方針において、東播海岸は2つの海岸(大阪湾と播磨灘)に分かれる。この2つの海岸でこれから海岸保全基本計画(環境・保全・利用)をつくることになっている。その環境面に対する計画としては、東播海岸環境基本計画が盛り込まれることになる。
  • また、東播海岸環境基本計画を付加することにより、大阪湾と播磨灘を強引にくっつけるのではなく、両計画の整合をきっちりと図っていきたい。

エコ・コースト整備計画について

離岸堤について
  • 「カメの上陸を阻むのではないのか」や「ブロックが景観上良くない」との意見がある。しかし、一方ではアマモが密生しているのも事実であり、離岸堤の取り扱いについては今後とも議論してほしい。
  • カメが通りやすく離岸堤の真ん中を削るように、構造の変更を検討してほしい。
  • 水面より上だけ取ると、保安庁との兼ね合いもあり、夜間照明を付ける必要性も生じる。そうすると、カメの産卵に適した、静かで暗いという環境を阻害することになる。
  • 配られた図を見てみると、アマモ場が何処にあるのかわからない。東播海岸の調査で植生図というものができており、この図と重ねて表記すると問題点が明らかになるのではないか。また、せっかく離岸堤があり、アマモ場が形成されているのであれば、残しておくべきである。アマモ場の造成というものは難しく、非常に貴重な例であり大事にするべきである。
海浜植物について
  • 昨年度の調査で集めた種子を人工的に発芽させて苗をつくり、藤江の海岸に植えて増やそうと実験を行っている。現状としては、今年は梅雨の雨が少なく、ほとんどが枯れてしまった。現在、集めた種子から大量に苗をつくり、秋に再び藤江の海岸に植える予定である。今後、実験がうまく軌道に乗れば、地元の小学生や住民とともに環境教育を兼ねた海浜植生の復元を図りたい。
  • 海浜植生の復元について、どのような姿を目標にしているのか想像しにくいところがある。そこで、植生の手入れの仕方や管理の仕方など、事例の検討も加えると良い。
  • 海浜に植物を増やそうと実験をしているので、PRするような大きな看板が必要である。そうすることにより、海浜植物に対する関心や保存する意識の高揚につながる。
整備計画について
  • 工事はしているが、時間的に何年かかるというのは目処が立っていない。本来であれば短期、中期、長期という形で示す必要がある。基本的なところを決めたうえで、何年かごとに計画の見直しを行いながら進めていく必要がある。
  • 少しずつ様子を見ながら実施する方がいいかもしれない。実際、つくってからしばらくしないと落ち着かない。礫浜をつくって何年後かに海藻が生えたりすることもある。
  • 最近では環境教育の取り組みが学校や地域でいろいろと行われており、まさに東播海岸は、そういう海の環境をまとめていくにふさわしいところである。立派な基本計画ができており、環境教育に生かしていくにあたり、子供たちが見てもわかるものになれば、いっそう幅広く計画が理解されていくのではないか。
松の木について
  • 松という表現が少なく、松の扱いをもっと大事にしてほしい。
  • 最近では松を植えるとマツクイムシにほとんどが食べられてしまう。しかし、白砂青松の瀬戸内海沿岸の景観を守ることは非常に重要なことである。

今後のテーマについて

  • 地元に密着するという意味では、現場で子供を相手に話すのが良い。
  • 懇談会も場所を変えて、いろいろな人に聞いてもらいながら行いたい。そして、質問も受けるというような方法が広がりも出て良いのではないか。
  • 子供たちと一緒に東播海岸ウォッチングをするのも良い。私も実際に歩いてみて海岸の良さがわかった。