第2回懇談会
日時 : 平成 8年12月 4日
場所 : グリーンヒルホテル明石
フリートーキング 項目
人間社会から見た海岸
利用
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21世紀に向けてのメッセージとなる施設整備
東播海岸の変遷や様々な課題に対して技術的にどのように克服してきたかという過程を次世代(21世紀)の子供たちに伝承する施設を取り入れてほしい。
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連続性(海岸と背後地を一体化)をもたせた利用計画の策定
海岸と内陸地を一体的に考えて検討する必要がある。
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利用目的に応じたゾーニングの必要性
多様化する国民のニーズに応えるためには、地域特性に応じたゾーニングを行い、その目的に基づいた施設を整備するのが望ましい。
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自然教育の場としての砂浜および礫浜、人工磯の利用
幅広い年齢層の人が利用できるような海岸、家族で憩える海岸にしてほしい。そのためには幼児が安心して遊べるような浅瀬や潮だまりを作ってほしい。
景観
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地域性を考慮したゾーニングの必要性
空間スケールや配置を間違えて白砂青松の再現を図ると、擬似的な自然(不自然)となる可能性がある。スケールに応じた整備計画を検討すべきである。
海岸といえば砂浜をイメージする。砂浜が延々と続くという景観も捨てがたい魅力である。
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計画策定における民意の反映
海岸づくりは都市計画の中に位置づけて街づくりと併せて考えるべきである。
民意を反映させるためには、意見を聞く場を設けるとともに、それなりの時間と手続きをかける必要がある。
管理
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ゴミ処理対策および管理体制に関する検討の必要性
海岸整備の進行にともなう利用者の急増により、週末や祝祭日の交通渋滞やゴミ問題は深刻化している。対策を望む。
ゴミ処理問題は単に行政対応だけの問題ではなく、地元の協力も必要不可欠である。東播海岸の沿線住民は、このような役割が要求されることを認識する必要がある。
生態系から見た海岸
海浜植物
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海浜植物の保護と育成
現地に適した整備形態を検討し採用すべきである。
生態系を含めた環境に優しい施設の構築を目的として、強固な構造(コンクリート製)よりも朽ちていく構造(自然石)、耐用年数が長く手直しがきかないもの(コンクリート製)よりも補修や撤去が容易なもの(間伐木材の有効利用)などのように素材を工夫してほしい。
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東播海岸に適した植生の把握と植栽
海浜植物は絶滅に瀕している。兵庫県でも淡路島、日本海側に僅かに見られるだけである。
東播海岸では失われつつある海浜植物の復元を図ってほしい。また、県内に残存しているもの、昔、現地に存在していたものを対象に復元を図ってほしい。
東播海岸の歴史的イメージに合った環境再生を望む。(南国を表現するヤシ等の植栽は避けたい。)
海岸背後の斜面にはゴミが散乱している。ゴミ対策の一環として県の花(ノジギク)などの植物を植栽してほしい。
海藻・海洋生物
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生態系に優しい環境の創造(礫浜・人工磯を用いた環境の単調さの改善)
タイドプールのように、潮が引いても海水が残るような施設を整備してほしい。
生物が少ないのは単調な環境が原因である。瀬戸内海中央部の島や四国で見られるように環境が複雑になるほど生物種は増える。環境さえ整えれば回復できる。
今の環境に適した整備を行う必要がある。「白砂青松」のイメージが一人歩きしている。作為的に造成したものは自然の中で生き残れない。
画一的な規格による施設は生物を拒む。生態系を育むという目的から礫浜や自然の磯、岩盤を保持するような整備が図れないか。