明日の東播海岸を考える懇談会

第17回懇談会

日時 : 平成12年12月20日

場所 : ホテルキャッスルプラザ

項目

瀬戸内海の自然環境について

  • 広島県が海砂採取禁止を発表してから実際に海底の状況を調査してみると、とてもひどい状況であった。
  • 「海砂の採取は悪くて山砂の採取はいいのか」とか、日本の海砂の採取を中国や北朝鮮からの輸入に切り替えつつある実態から、「自国の海は守って他国の河川や海は守らなくてもよいのか」といった指摘を受けるが、今の時点では適切な回答が見つからない。
  • 相変わらず快適である海岸を求めて埋立や護岸整備を行うことに危険性を感じる。(貴重な干潟を海水浴に不便だといって埋立をして水際線を沖出しし、そこに養浜をしてしまった。【香川県一宮海岸の例】)
  • 山口県沖家室島の女性や香川県豊島の中坊氏のように、自分の世代で種をまいて次の世代に引き継ぐといった思想こそが、これからの瀬戸内海の自然環境を守っていくことの核になる。
  • 瀬戸内海の環境保全基本計画が閣議決定されたが、この中に埋立と海砂採取禁止の項目は入っていない。この基本計画に基づいて各地方自治体が独自に計画を策定することになり、地元が「瀬戸内海は自分たちで守る」という強い意志をもたなければ実現しない。
  • 瀬戸内海がもっている価値を再評価して、「世界遺産に」という運動をもっと高めてほしい。ただし、この運動は世界遺産に登録することが最終目的ではなく、「世界遺産」というフレーズを掲げることによってもっと関心をもってもらうことが最終目的である。
  • 山から海への砂の移動、砂防ダムや河川管理の問題も含めて考えなければ瀬戸内海の海砂の状況は改善しないと思う。
Q 四国と兵庫県の河川の様子の違いを指摘されたが、人口集中度、災害履歴と改修の必要度の大きさによってその差が出ている。また、干潟の問題も、普通の人からすれば汚い泥沼にしか見えない。人間生活が快適になればなるほど清潔さに対する強い欲求が出てくるため、ますます嫌悪されてしまう。子供の頃からそういう認識を持ってしまえば将来的にも同様な考えに固執してしまい、干潟の存続を認めなくなる可能性がある。そうならないための教育が必要であると考えるが、よいアイデアはないものか?
A 広島県呉市在住の藤岡先生が、各地の小学校で講演やフィールドワークの指導をされている。干潟に子供達をつれていき、遊ばせる。子供達はいろいろな生物に触れ、そして先生に質問をし、先生はその質問に答える。専門的な知識のある人は子供達の質問にちゃんと答えることができる。そして、その質問に答えてもらえることで子供達は満足感を得ると同時に関心をもつようになる。これこそが重要なことである。現場で専門的な知識を持った人がちゃんとその必要性や機能を説明し、さらに質問に答えるということを、遊びを通じて行うことが出発点である。

なぎさ海道の推進について

  • 近年の子供は海に近づいていない。大阪湾ベイエリアの整備の目的は、海岸線に人を呼び戻し、そこでの交流を促進することによってベイエリアの活性化を図ることである。
    ※なぎさ海道の178カ所の登録資源・施設の具体的な映像と紹介
  • 海岸を守る活動に企業を巻き込むと同時に、企業間の連携を作るような活動を期待する。