マンション管理業者の業務について

1.マンション管理業者票

 マンション管理業者は、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、マンション管理業者票(標識)を掲げなければなりません。(法律第71条)
 なお、平成21年の規則改正により、業者標識の表記事項の「登録年月日」欄が「登録の有効期間」に改められています。
 専任の管理業務主任者等を適切に記載し、更新の登録申請時期についても日々ご確認ください。

2.重要事項の説明について

 マンション管理業者は、管理組合と管理委託契約(※1)を締結しようとするときは、あらかじめ、マンションの区分所有者等及び管理者等の全員に、管理業務主任者が確認し記名押印した重要事項説明書を1週間前までに交付するとともに、説明会を開催し(※2)、管理業務主任者をして、重要事項について説明させなければなりません。 
 また、従前と同一の条件で管理委託契約を更新しようとするときは、あらかじめ、マンションの区分所有者等全員に対し、管理業務主任者が確認し記名押印した重要事項説明書を交付し、管理者等に対して、
管理業務主任者をして、重要事項説明書を交付して説明させなければなりません。(法律第72条)

※1 新たに建築されたマンションの当該建設工事の完了の日から1年を経過する日までの間に契約期間が満了するものは除かれます。
※2 重要事項説明書とともに1週間前までに交付する「説明会の日時及び場所を記載した書面(開催案内)」にも管理業務主任者の記名押印が必要です。また、説明会の日時及び場所については、1週間前までに掲示が必要です。

3.契約成立時の書面の交付について

 マンション管理業者は管理組合と管理委託契約を締結したときは、当該管理組合の管理者等(※)に対し、遅滞なく、管理業務主任者の記名押印のある一定の事項を記載した書面を交付しなければなりません。(法律第73条) 

※ 当該マンション管理業者が当該管理組合の管理者等である場合又は当該管理組合に管理者等が置かれていない場合にあっては、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者全員に対し、書面を交付することが必要です。

 国土交通省では、「マンション管理標準管理委託契約書」を指針として定めていますので、契約成立時の書面の交付の参考としてください。

4.再委託の制限

 マンション管理業者は、管理組合から委託を受けた管理事務のうち基幹事務については、一括して他人に委託することができません。(法律第74条)
 基幹事務とは、①管理組合の会計の収入及び支出の調定に関する事務②管理組合の出納に関する事務③専有部分を除くマンションの維持又は修繕の実施に関する企画又は実施の調整に関する事務です。

5.帳簿の作成・保存

 マンション管理業者は、管理組合から委託を受けた管理事務について、帳簿を作成し、これを保存しなければなりません。(法律第75条)
 管理受託契約を締結したつど、次に掲げる事項を記載し、その事務所ごとに、その業務に関する帳簿を備えてください。
  1. 管理受託契約を締結した年月日
  2. 管理受託契約を締結した管理組合の名称
  3. 契約の対象となるマンションの所在地及び管理事務の対象となるマンションの部分に関する事項
  4. 受託した管理事務の内容
  5. 管理事務に係る受託料の額
  6. 管理受託契約における特約その他参考となる事項
 帳簿は、マンション管理業者の各事業年度の末日をもって閉鎖し、閉鎖後5年間保存してください。
 なお、帳簿は電子媒体により作成・保存することもできます。

※様式が法令により定められているものではありません。

6.財産の分別管理について

 マンション管理業者は、管理組合の修繕積立金等の財産については、自己の固有財産及び他の管理組合の財産と分別して管理しなければなりません。 (法律第76条)

7.管理事務の報告について

 マンション管理業者は、管理組合の事業年度終了後、遅滞なく、当該期間におけるマンションの管理の状況について管理事務報告書を作成し、管理業務主任者をして、これを管理者等(※)に交付して説明をさせなければなりません。(法律第77条)

〇報告事項
  1. 報告の対象となる期間
  2. 管理組合の会計の収入及び支出の状況
  3. 管理委託契約の内容に関する事項

※ 管理組合に管理者等が置かれていないときは、説明会の開催が必要です。

8.業務状況調書等の閲覧の義務

 マンション管理業者は、その業務及び財産の状況を記載した書面を事務所ごとに備え置き、関係者の求めに応じ、これを閲覧させなければなりません。(法律第79条)

 業務状況調書、貸借対照表及び損益計算書(または、これらに代わる書面)を、事業年度経過後3月以内に作成し、遅滞なく備え置き、3年間、その事務所の営業時間中、関係者が閲覧できるようにしてください。
  なお、これらの書類は電子媒体により作成し、閲覧のために映像面に表示することもできます。

9.従業者証明書の作成及び携帯

 マンション管理業者は、使用人その他の従事者に、従業者証明書を携帯させなければ、その者を業務に従事させてはなりません。また、従業者はマンションの区分所有者等から請求があったときは、従業者証明書を提示しなければなりません。(法律第88条)
 管理組合とマンション管理業者との管理委託契約に基づいて事務を行うことを証明するために、再委託先の従業者も含むものとすることが望まれています。