電子植生図鑑 六甲山の種多様性

はじめに1:構成種の要素に着眼する2:照葉樹の質に注目3:他地域のブナ林と比較

3:他地域のブナ林との比較

六甲山のブナ林がたどってきた運命は、過酷でした。縄文海進期には、気温の上昇で、山上のわずかな地域に追いやられました。明治時代までは、人の暮らしを支えるため、伐採されたこともあったようです。

では、今残っているブナ林は、どんな状況なのでしょうか? 他の地域のブナ林と比較してみましょう。ここでは、主な構成種の出方について、次の2つの地域のブナ林,イヌブナ林と比較してみます。

イヌブナ林 : 兵庫県宍粟市 赤西渓谷
ブナ林 : 西日本太平洋側(紀伊山地,四国)**

イヌブナ林:栗山みどり氏(現、株式会社ウエスコ所属)から資料をお借りしました(未発表資料)。
**ブナ林:「日本のブナ群落の植物社会学的新体系」 日本生態学会誌(福島司ほか1995)のブナ−シラキ群集を使いました。

ブナ林構成種の比較

六甲山 兵庫県宍粟市
赤西渓谷
西日本太平洋側
(紀伊山地,四国)
ブナ、クロモジ、シラキ、コハウチワカエデ、タンナサワフタギ、リョウブ、など
六甲山にも分布しているけれど、調査したブナ林には出現していません。
イタヤカエデ、ミズナラ、ツタウルシ、
ハリギリ、ホオノキ、ゴトウヅル、など
 
ミズメ、ナツツバキ、
クマシデ、など

現在のブナ林の分布

地図:現在のブナ林の分布
  • 現存するブナ林の面積はわずかです。
  • ブナ林の周りには、気温条件から、ブナ林の成立が可能と考えられる区域が広がっています。
  • 現在は、アカマツ林とコナラ林に置き換わっています。

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