さまざまな河川浄化施設の整備
大和川流域では、河川浄化施設の整備を実施しており、平成19年度末で19箇所が完成しました。整備は川が本来持っている「自浄作用」を活用したものなど、様々な浄化方法を組み合わせて効率的な水質改善に努めています。
大和川の河川浄化施設
大和川で活躍している浄化施設
- 「瀬と淵方式」
大和川下流浄化施設(1)浅香山地区
(3)天美・矢田地区
(4)長吉長原地区
(5)第二運動広場地区
(6)河川敷公園地区
(7)西運動広場地区
(8)柏原地区
- 「礫間接触酸化方式」
(9)葛下川浄化施設
(18)富雄川浄化施設
(19)飛鳥川浄化施設
- 「薄層流浄化方式」
(2)西除川浄化施設
(15)三代川浄化施設
(21)大和川上流浄化施設
- 「直接接触酸化方式」
(22)城井井堰浄化施設
- 「植生浄化方式」
(11)信貴川浄化施設
(17)不毛田浄化施設
- 「上向流接触酸化方式」
(12)惣持寺樋門浄化施設
(14)神南樋門浄化施設
(20)曽我川浄化施設
- 「接触酸化方式」
(10)久度樋門浄化施設
(13)南浦樋門浄化施設
- 「砂ろ過+流離方式」
(16)大輪田地区浄化施設
河川の特徴に合わせた浄化方式
瀬と淵浄化方式
川が本来もっている「自浄作用」が多く発揮できる「瀬」と「淵」を再現した浄化方法。川の流れがゆっくりとした「淵」では汚濁物質を沈殿・接触分解する場を持たせ、また水の流れが速い「瀬」では、接触酸化に必要な酸素供給や砂礫間を通る際のろ過機能を持たせています。
■浄化原理と仕組み
(日)巨石堰により水の流れがゆっくりとした「淵」をつくり、水の汚れを沈殿させます。沈殿した水の汚れは微生物により分解されます。 (月)巨石堰からの落差や水の流れの変化で、酸素を水の中に多く取り込みます。 (火)水の流れが速い「瀬」では、石に水があたることでたくさんの酸素を取り込み、微生物の働きを助け水の汚れを分解します。 (水)きれいになった水を流します。
■特徴
・河川敷などのスペースが不要です。
・「瀬」や「淵」などの変化のある環境は新たな生息場所を生み出し、周辺と 調和を図ったデザインで大和川下流の親水空間を創出しています。
礫間接触酸化方式
浄化槽の中に、礫(石)を接触材として使用し、礫の隙間(礫間)にゆっくり汚濁水を流すことで礫の表面にすむ微生物が汚濁物質を吸着・分解し浄化する方法です。
■浄化原理と仕組み
(日)取水口から流入した河川水をポンプで浄化施設内へ導きます。
(月)汚れた河川水を時間をかけて礫間に通し、汚濁物資の沈殿・吸着・生物分解などを行います。
(火)浄化された水は放流口を通り、本川に放流します。
■特徴
・汚れた川の水をいったん施設に取り込み、自然石の接触材で浄化。
・自然流下方式のため、エネルギーをほとんど必要としない。
薄層流浄化方式
河床に接触材となる礫(石)を敷き並べ、水を広く薄く流すことで接触材に多く触れるよう図り、河川水が河床の接触材に触れて流れる時の水流の乱れや上流部に設けた堰工からの落差による酸素供給のより、礫の表面にすむ微生物が汚濁物質を吸着・分解し浄化する方法です。
■浄化原理と仕組み
(日)最上流部には落差を設け曝気を行います。
(月)河床には金属製ネットに接触材となる砂礫がついたものを敷き並べ固定しています。
(火)河床の一面を使って浄化を行います。
■特徴
・河川敷きなどのスペースが不要です。
・維持管理が容易でコストがかかりません。
直接接触酸化方式
接触材をつり下げた鉄製カゴ枠を河床に敷き並べ直接河川水を流し浄化を図る方式。接触材の表面にすむ微生物が汚濁物質を吸着・分解し浄化します。
■浄化原理と仕組み
(日)鋼製カゴ枠を河床に設置しています。
(月)カゴ枠の中には、接触材を敷き詰めた袋をつり下げています。
(火)接触材にはプラスティック製および木炭系接触材を採用しています。
(水)最下流に設けた堰が淡水域をつくり、さらに浄化効果を高める仕組みになっています。
■特徴
・カゴ枠の中にはゴミが入らないように考慮した形状です。
・フタは人力で開閉ができる構造としているため、接触材のメンテナンスが容易にできます。
・カートリッジ式のため移動が容易にできます。
上向流接触酸化方式
浄化槽の中にプラスチック製の接触材を充填し、接触材に対して下から上にゆっくり汚濁水を流すことにより接触材の表面にすむ微生物が汚濁物質を吸着・浄化する方法です。
■浄化原理と仕組み
(日)河川水を取水し、自然流下方式で浄化施設内へ導きます。
(月)汚れた河川水を接触材の間に通し、汚濁物質の沈殿吸着・生物分解などを行います。
(火)浄化された水は放流口を通り、本川に放流します。
■特徴
・通常用いる砂礫のおよそ20倍もの表面積を有したプラスチック製の 接触効率の高い接触材で浄化します。
・自然流下方式のため、エネルギーをほとんど必要としません。
・上向流方式のため目詰まりがしにくくろ過と接触酸化の機能が維持します。
植生浄化方式
植生浄化方式は、自然浄化作用を持つヨシ原を通して浄化を行う方式です。ヨシは生き物のゆりかごにもなり、生き物や植物が育つ豊かな環境を目指します。
■浄化原理と仕組み
(日)川から水をみちびいています。
(月)「ヨシ原」を通して水の汚れをろ過・吸収・分解します。
(火)きれいになった水を大和川へ流します。
■特徴
・汚濁の原因である窒素、及びリンを取り除く効果があります。
・自然流下方式のため、エネルギーをほとんど必要としません。
・生き物たちの生息地として自然環境を創出します。
接触酸化方式
浄化槽の中に、プラスチック製の接触材として使用し、ゆっくり汚濁水を流すことで接触材の表面にすむ微生物が汚濁物質を吸着・分解し浄化する方法です。
■浄化原理と仕組み
(日)樋門に取水工を設けて河川水を取水し、河川水をポンプで浄化施設内へ導きます。
(月)汚れた河川水を約1時間以上かけて接触材の間に通し、汚濁物質の沈殿吸着・生物分解などを行います。
(火)浄化された水は放流口を通り、本川に放流します。
■特徴
・汚れた川の水をいったん施設に取り込 み、プラスチック製の接触材で浄化。
・自然流下方式のため、エネルギーを ほとんど必要としません。
砂ろ過+流離方式
カゴマットを効果的に配置することで、砂州へ河川水の流れをゆるやかに導水。本川との間に生じる水頭差による砂ろ過で本川に戻すシステムに加え、多数の木杭を配置することで杭の周辺に生じる流離方式による浄化機能を備えた複合浄化装置です。
■浄化原理と仕組み
(日)カゴマットにより砂ろ過部へ導水します。
(月)本川との水頭差を利用し、自然砂州を用い浸透ろ過します。
(火)木杭の周りの流速を落とし、汚濁物質を沈殿します。
■特徴
・電気や機械を使わずに砂州や木杭などの自然素材を活用した浄化施設のためメンテナンスがいりません。
・自然環境に配慮した多自然親水的な設計です。