九頭竜川流域誌


1.4 第二期改修工事

 明治33年(1900)度から始められた第一期改修工事は、すでに述べたとおり九頭竜川本川を主としたもので、これに足羽川も対象としていたものの、日野川については僅かに九頭竜川本川との合流点付近にとどめられていた。
 しかし、日野川には、家久下流においても無堤地区があり、浅水川や天王川合流点付近や足羽川合流点付近にかけて、洪水時には一大遊水池となるような水害常襲地帯が存在しており、その対策として第二期工事が始められることとなった。この工事は明治43年(1910)に着工し、大正13年(1924)度まで、総工費5,545千円を要して完成した。
 特に、日野川右支川の浅水川については、その本流筋のほかに、その右支川の鞍谷川をも改修の対象とした。また、日野川左支川では丹生台地から流れる天王川も対象とした。さらに、河川改修とともに、必要な箇所には排水樋門を設置することとした。
(1) 計画の内容
 日野川の改修は、家久から下流足羽川合流点にいたる20km余の間を、新堤を築造もしくは旧堤の修築を行い、さらに下江守から角折までの間は掘削、あるいは浚渫して河積の拡大を図った。また、河道の屈曲が甚だしい箇所については、整正するとともに新しく低水路の掘削を行った。川幅は100〜270間(182〜491m)とした。
 足羽川は、左岸若杉、右岸水越から下流の両岸に築堤して洪水の疏通を図るとともに、狐川には水門を設けて逆流防止を図った。
 浅水川は、中流部の徳尾より下流を新水路として、鳥羽、吉江を経て三尾野に到って日野川に合流させた。この合流点には、長さ1kmの背割堤を設けた。新水路の全長は6km余であるが、徳尾より上流中野村に至るまで築堤し、所によっては掘削整正を行った。
河道幅は中野から下流徳尾までの間を20間(36.4m)、徳尾から下流を30間(54.5m)として、鞍谷川は河道幅を全川25間(45.5m)とした。
  天王川は、合流点に背割堤を築いて550間(1,000m)下流に導き、日野川の逆流を防いだ。河道幅は、24〜32間(43.6〜58.2m)とした。

 表2.4.3 直轄工事施行区域(8条指定)
河川名 区域
浅水川
左岸 今立郡中河村
右岸 今立郡北中山村
以下日野川落合に至る。
鞍谷川
左岸 今立郡中河村
右岸 今立郡北中山村
以下浅津川落合に至る。
天王川
左岸 丹生郡朝日村
右岸 丹生郡朝日村
以下日野川落合に至る。

(2) 改修の意義
 第二期改修の目的は、本川、特に日野川洪水位による支川筋への逆流被害を軽減することに置かれ、約5,000町歩(4,959ha)の浸水区域の解消することであった。この改修工事の代表は、福井市東南部の浅水川と足羽川とに囲まれた地区の水害対策として、浅水川の下流を徳尾付近から神明を経て三尾野付近にて日野川に合流させる新川開削によるショートカット工事であった。これは、第二期改修工事の象徴的な工事であった。
 九頭竜川水系の治水工事はたびたび行われて来たが、内務省時代において施工された上記の改修工事によって、福井大震災による復旧工事までよくその効果を発揮した。


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